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<位置>
フランス南西部、ルエルグ地方アヴェロン県、サンタフリックの南約20km、ルエルグ地方とオート=ラングドッグ地方とが境をなす比較的狭い谷間に、ガボ川の流れに面してシルヴァネス旧シトー会修道院は建つ。

<修道院概要>
シルヴァネス修道院はマザン修道院から分派した修道院で、シトー会修道院としては当初サント=マリー・デュ・マス=テロン(Sant-Marie du Mas-T屍on)という名で1136年に設立された。しかし、この修道院の出発点はこれよりさらに遡り、シトー会とは直接関係のない地方的な環境の中で生まれたものであった。
現存の教会堂建築は、マザンの分院となった後の、修道院の名前もサント=マリー・ド・シルヴァネスとなってからのもので、そこにはシトー会修道院建築としての特徴が伺える。
プロテスタントの蛮行で宗教戦争中には荒廃し、フランス革命時には売りに出されたりもするが、1977年、うち捨てられ半ば廃墟となっていたこの修道院は二人の人物、一人はドミニコ修道会士、もう一人は音楽家、により救われ、現在は文化と芸術を通した人びとの出会いの場として新しい生を受けている。

<教会堂概要>
教会堂は、1151年に建設が開始され1187年に全体がおおむね完成した建築で、現存するシトー会教会堂建築としてはフォントネ、レスカール=デューに次いで古いものである。
修道院の建築としては、教会堂の他は回廊の東ギャラリーと集会室や修道士室のある回廊の東部分が残るのみであるが、教会堂は保存状態も良好で、装飾をほとんど欠いた厳しい意匠や小型の角形至聖所を持つ「ベルナール式平面」により、聖ベルナールの美学をよく表した初期シトー会教会堂建築の遺構として重要である。