東京郊外私鉄駅近くのテナントビル2階に新規開業する形成外科・内科医院である。
ごく標準的な医院内装とは異なる個性的な要望を持つ施主は、その要望をリーズナブルな工事費用で実現するためには、設計施工を一貫して請負う内装工事業者に任せるのではなく、施主に代わって工事監理を行いうる設計事務所の存在が不可欠という判断により、当事務所が内装工事の設計監理を担当するに至った。
施主の要望する内装イメージは、一口に言うと「医院らしくない」「居心地の良い住宅的なもの」というものであった。その背景には、施主の個人的な好みとともに、保険診療が主体となる内科および形成外科に加えて保険外診療の美容形成をも行うクリニックとして業態に相応しい内装を求めるという発想がある。
そのため、色や素材といった内装デザインの表層だけでなく、平面計画においても十分に業態を反映したものでなくてはならない。医院として求められる動線計画や機能配置に加えて、受付から診察・処置、そして会計まで、患者のプライバシーに十二分に配慮するとともに居心地良く過ごせるよう計画をまとめた。
工事費用の点では標準的な価格に抑えることに成功しながら、機器や資材の搬入に訪れる医療関連業者の方々が皆一様に当惑するような医院らしくなく、かつ瀟洒な内装とすることが出来た。
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