Atelier Cloitre space
image image image image
space
space space
Information
Photo Archives
Design Works
France
d'Autre
Romanesque
Romanesque
Profile
Links
info@a-cloitre.com
緑豊かな山間に整備されるバイパス道路に沿って連なる4ヶ所合計4haの広場の修景計画の機会を得た。
手を替え品を替え、入念に計画、工事された公園を見る機会が多くなっているが、現場周辺ののどかな山村風景には、そういういかにも修景しましたという公園はどうにも馴染みそうにない。素朴な風景には、素朴な広場がいい。ここでは、一見何の変哲もない単なる原っぱ、でも子供の好奇心をくすぐるようなちょっとした発見がある広場にしようと腐心した。

現地は多くの民話や伝承の残る土地。現在を生きる子供達の想像力から生まれる作り話しも、ひょっとすると将来は昔語りの題材になるかもしれない。伝わってくた物語、これから生まれる物語、全部まとめて面倒を見てくれる「語り部」に見立てて小さな石のオブジェをデザインし、広場のあちこちに忍ばせた。その名は「むらたん」

草の間で、うずくまるように眠りこける「むらたん」。
世間の騒がしさに長い眠りから起こされて不機嫌なのか、口をへの字にして伸び上がる「むらたん」。
過去から未来へ物語を語り続ける「むらたん」は、石の精でもある。石の陰からうっすらと微笑んでいる。

外観写真-4
外観写真-4 外観写真-4 外観写真-4
4つの広場のうちのひとつは「雪のひろば」と名付けられた。
大理石の単なる球を、緩やかな起伏を設けた大地に何列も並べた。舞い飛ぶ雪のイメージ。
大理石の「雪玉」を縫うようにうろうろすると、雪兎を発見する。よくよく探すと雪兎にちょっかいを出そうとしている小さな「むらたん」がいる。
あちこちに全部で30体。何も彫っていない玉石も含めると倍以上の数の石ころを転がした。 この原っぱを駆け回る子供たちが「むらたん」を発見したら何を思うだろう。「なんだ、こいつ?」と思ってくれないだろうか。勝手にお話しを作ってくれないだろうか。
外観写真-4
田舎に行くと緑は多いが、意外に走り回れる原っぱは少ない。雑木林の里山はいつの間にか薮になっているし、平地は水田や畑で、走り回ったり寝転んだりが常にできるわけではない。 寝転がって空を眺めることができる原っぱ。それも「公園でござい!」と大きな顔をしている広場ではなく、耕し忘れた空き地のような原っぱで季節の匂いを嗅ぎながら、季節の空を眺めたい。
日常的で見落としてしまいそうな単なる原っぱに、ちょっとした不思議な仕掛け。草の中から発見して欲しい。

DATA
事業者:宮城県大河原土木事務所
設計者:アジア航測株式会社
設計協力&オブジェデザイン:アトリエ・クロワートル
オブジェ制作:石作工房