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計画地は「民話のみち」と名付けられたバイパス道路に沿って点在する4つの広場のひとつ「語り部のひろば」。町はこの広場周辺を「民話の里」と名付けて整備構想を立てた。地域に残る伝承を伝える場として民家を移築し、同時に地域の産品を紹介する施設「産直館」を新築する構想である。

静かな山間の里、谷筋を通るバイパス道路から一段上がった丘の上に移築される民家と新築される産直館。あくまでも山間の里の風情を大事にして計画を進める。
いくつかの配置案を作成して検討したが、最終的に町が選んだのは町文化財として移築される民家を移築前と同じく「南向き」に配置したもの。計画地が北斜面の平場なので民家は谷を背に斜面に向かって建つことになる。
民家の正面、斜面との間になんとか空きを作って縁側の日なたぼっこを可能にすること。また、谷側のバイパス道路、つまりは民家の背中側からのアプローチをどう整えるか。産直館の配置や外構計画は自ずと決まっていった。

茅葺き民家のたたずまいは、さすがに迫力がある。
並んで建つ産直館は、民家に負けても勝ってもいけない。その存在はしっかりとしていなくてはならないが、主張しすぎてもいけないし、まして民家の風情を壊してはいけない。無くてはならぬが決して目立たぬ黒子のようになればと設計を進めた。

民家の量感に勝らぬよう建物の大きさ、高さを調整し、その中で内部空間の豊かさを求める。喫茶スペースの収まる「母屋」は切り妻平屋の単純な形。展示室は2層分の高さを持つ方形屋根の箱。ともに、民家のように小屋組みを見せて高さ方向のゆとりをかせぐ。
民家の色調の邪魔にならぬよう内も外も建物全体をモノトーンでまとめる。外観は引き締まった印象となるように屋根も壁も黒を基調とした。内部は構造材を黒、壁面を白、床やその他を材料なりの色と単純なルールで構成する。

百年を優に越えて建つ民家の存在感の前では、小手先の意匠や器用なだけの納まりではなんとも浅はかで滑稽になってしまう。ヴォリュームやプロポーションに細心の注意を払いながら、努めて素朴に、当たり前のことを尽くすよう心掛けた。

外観写真-3
外観写真-4 内部写真-5
外観写真-1
外観写真-2
DATA
事業者: 宮城県村田町
設計者: アジア航測株式会社
設計協力:アトリエ・クロワートル
     フォルム建築設計室
設計監修:西田雅嗣/京都工芸繊維大学